名ばかりの古文単語集に引導渡す最終兵器近日発売・・・その33%をWEBでドッサリ御紹介
いらぬゑをえかきそこねてあかくあきいさやふゆこひはるかすむまて
らぬ絵を描き損ねて赤く秋不知や冬恋春霞む迄
入らぬAO(推薦入試)描き損ねて足掻く秋いざや冬語彙春掠む(遙か済む・春が済む)迄(待て)
...悲恋の歌とて詠める:
『よせばいいのに、絵にいたみたいな高望みの果てに、我が心のカンバス赤っ恥の秋模様・・・冬の恋に期待?・・・さぁ、どうですかねぇ・・・今は全然、見えません・・・春霞彼方にでも素敵な人が隠れてくれてるならいいのだけれど・・・』
...悲運の受験生としても読める:
『入れもせぬAdmission Office(自己推薦受け入れ審査)入試制度とやらに振り回されて、今更受験勉強しなきゃならん羽目に陥って、必死に足掻く秋になっちゃった・・・さぁ、冬場は語彙増やさなきゃ! 待ってろよ大学、来春の栄冠をこの自分が力ずくで奪い取るその日まで・・・でも、450語かぁ・・・ゴールはかに遠いなぁ・・・』
・・・そんな残念な感じの秋冬を迎えつつある大学受験生のために、特別大盤振る舞い(近日発刊祈念記念 期間限定PR企画) ― 「大学入試でこれだけは知っとかないと話にならない最重要古語」450語を、暗記に便利な最強のフォーマットで、無償公開...(たぶん)今だけ企画・・・来年も又ガンバらずに済むよう、受験生諸君も頑張って
・・・来春の勝利をきちんとした自助努力でたぐり寄せなきゃならん諸君のために(たぶん、来春の受験シーズン閉幕頃迄)正式な本の体裁で『古文単語1500マスタリング・ウェポン』を世に出す前景気をアオる意味もこめて ― その「パートA=基本語」のみタダで御披露目しときます。(但し、単純五十音順・・・書籍版はもっと気の利いた「意味発想グループ別配列」の上に「B水準500語+C水準550語つき」・・・ぇ?そんな沢山いらない?)
・・・でも、この「A水準450語」だけで「これだけやっとけば十分!」とかムシのいいこと考えちゃ、いけません:「これ知らんようじゃ死んでも当然」という入試古文の命綱、知ってることが強みになるんじゃなくて知らないことが命取りになるレベルの古語語彙に過ぎませんから・・・受験で真に「差がつく上級古語」は、この先のレベルの「B水準500語」だったりすんですが・・・まぁ、そちらの御披露目は実際出版された本の中で、ということで、今はともかくも「残念な状態」からの脱却のためにこの「A水準必須古語450」だけはモノにしといてくれれば(秋の半ばも過ぎた頃にオシリに火がついてる受験生への贈り物としては)いいんじゃないでしょうか・・・とまれかうまれよくやりてむ
from『古文単語1500Mastering Weapon』
初級A水準450語WEB見本版:五十音順
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〈A〉 あいなし【あいなし】
《「文無し」=論理的正当性がない/「愛・合ひ無し」=(主観的に)興味・関心を引かれない、の二つの語源説があり、語義もまた「不合理」と「不愉快」の二系統に大別できる。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(主観的に)興味・関心を引かれない。〉 気に入らない。気に食わない。好きになれない。面白くない。興味がない。つまらない。意に沿わない。   (2) 〈(理に照らして)間違っている。〉 不当だ。理不尽だ。無茶だ。よろしくない。筋違いだ。お門違いだ。   (3) 〈(連用形「あいなく」やウ音便「あいなう」の形で、副詞的に)程度がはなはだしい。〉 無闇に。やたらと。ひどく。わけもなく。法外に。やけに。べらぼうに。
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〈A〉 あかつき【暁】
《上代語「あかとき=明か時=夜が朝日に赤く染まる頃」が、中古以降「あかつき」となった。早朝の時間帯全般を指す語で、これが更に前半=「(和歌では「東雲」)」/後半=「朝朗け」に分かれる。》
〔名〕
  (1) 〈夜中から朝に移行する時間帯。〉 早暁夜明け前。未明。日の出前。
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〈A〉 あからさま【あからさま】
《本来の居場所から一時的に離れる「離る」に由来し、上代には「突如として元の状態を離れる→いきなり変化する」の意で用いたが、中古以降は「かりそめに」が中核的語義となる。現代に残る「明白」の意は、「離ら様」と「明から様」の混同により近世以降生じたもの。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈永続的・恒久的なものでないさま。〉 一時的だ。かりそめだ。しばしの間だ。ちょっとの間だけだ。   (2) 〈(「あからさまにも」の形で、下に打消の語を伴い)否定の意味を強調する。〉 全然・・・ない。全く・・・ない。これっぽっちも・・・ない。ちっとも・・・ない。・・・だなんてとんでもない。   
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〈A〉 あがる【上がる・揚がる・騰がる】
下方から上方への移動について、移動後の位置や他との関係の変化を主眼に述べる語。他動詞形は「上ぐ」。対義語は「下がる」。》
〔自ラ四〕 {ら・り・る・る・れ・れ}
  (1) 〈高い場所に存在・移動する。〉 上がる。高くなっている。登る。上昇する。   (2) 〈位・階級が上がる。〉 昇進する。昇級する。栄進する。出世する。   (3) 〈(雨・霧などが終わって)晴天に戻る。〉 あがる。やむ。晴れる。からっとする。   (4) 〈(時代が)昔にる。〉 その昔は。かつては。上代には。   (5) 〈身分の高い人のもとへ行く。〉 参上する。伺候する。奉公する。お仕えする。   (6) 〈頭に血がのぼる。〉 のぼせる。かっかする。上気する。   
〔他ラ四〕 {ら・り・る・る・れ・れ}
  (1) 〈(女房語)飲食することを指す尊敬語。〉 召し上がる。お上がりになる。お食べになる。お飲みになる。お口になさる。
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〈A〉 あかる【別る・離る・散る】
《漢字表記すれば意味は一目瞭然の古語の一つだが、「離る」の読み方は実に様々で、「あかる」・「さかる」・「かる」・「はなる」はいずれも「離る」である・・・日本語に於ける音と文字と意味との掛け離れ具合がよくわかる一例ではあろう。》
〔自ラ下二〕 {れ・れ・る・るる・るれ・れよ}
  (1) 〈(一緒だったものが)ばらばらに別れる。〉 離別する。分散する。散り散りになる。泣き別れになる。
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〈A〉 あく【飽く・厭く】
《「もう十分・これ以上関わりたくない」と感じる自らの心と対象との間に出来る心理的距離(=空き)に由来する語。》
〔自カ四〕 {か・き・く・く・け・け}
  (1) 〈十分な水準に達する。〉 満足する。満ち足りる。心行く。   (2) 〈(有り余るほどの分量・頻度が)倦怠を誘う。〉 げんなりする。飽き飽きする。うんざりする。嫌になる。ゲップが出る。もう沢山だ。   (3) 〈(動詞の連用形に付いて)十分である意を表わす。〉 十分・・・する。心行くまで・・・する。・・・して満足する。たんまり・・・する。   (4) 〈(動詞の連用形に付いて)過度である意を表わす。〉 あまりにも・・・しすぎる。・・・するのにうんざりする。飽きるほど・・・する。
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〈A〉 あくがる【憧る】
《小屋を表わす「」から「離る」=「本来の居場所を離れて外に浮かれ出る」の原義から、空間的に「さまよう」、対人的に「心が離れる」、更には「精神が肉体を離脱する」・「何かに強く心を奪われ、注意散漫になる」(現代語「憧れる」はこれに近い)の意が生じた。》
〔自ラ下二〕 {れ・れ・る・るる・るれ・れよ}
  (1) 〈(本来の居場所から)離れてさまよう。〉 さまよう。ふらふら出歩く。ぶらつく。放浪する。   (2) 〈心が肉体を離脱する(ような腑抜けた感じになる)。〉 幽体離脱する。魂が抜けたようになる。放心する。恍惚状態になる。心ここにあらずだ。   (3) 〈(人との仲が)疎遠になる。〉 心変わりする。める。不仲になる。心が離れる。
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〈A〉 あけぼの【曙・明ぼの】
《「明け」+「ほの」(=夜が仄かに赤く染まる頃)で、「あかつき」の前半の時間帯(和歌用語では「東雲」)。後半の時間帯は「朝朗け」。》
〔名〕
  (1) 〈夜がみ始める早い時間帯〉 早朝。夜明け。明け方。
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〈A〉 あさまし【あさまし】
《深みに欠ける「浅し」を動詞化した「浅む」の形容詞形なので「あまりの浅薄さに呆れる」の語義のみかと思いきや、「見る者の事前の読みの浅さを痛感させる意外性」を持つ対象なら善し悪しを問わず用いるのが古語の「あさまし」で、否定一本槍の語ではない。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈(自身の思慮・観察・予測が浅かったために)眼前の事態を意外に感じる。〉 驚いた。意外だ。びっくりした。予想外だ。意想外だ。思いも寄らない。   (2) 〈(予想を下回る現実に)落胆する。〉 がっかりだ。全然駄目だ。期待外れだ。話にならない。   (3) 〈(自分の倫理・美学などの規準に満たぬものに接して)嘆息する。〉 嘆かわしい。情けない。れたものだ。   (4) 〈(連用形「あさましく」やウ音便「あさましう」の形で、副詞的に)程度がはなはだしい。〉 非常に。はなはだしく。ひどく。大いに。   (5) 〈(外観の低劣さが)他者の軽蔑を誘う。〉 見苦しい。みっともない。見栄えが悪い。垢抜けない。   (6) 〈(身分の低さ故に)他者の注目・敬意を得られない。〉 取るに足らない。身分が低い。ぱっとしない。   
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10 〈A〉 あざる【狂る・戯る】【鯘る】
《「」・「鮮やか」に見る通り、他より際立つ意を表わす「あざ」が、「人目に付く普通と違う行動(ふざける・打ち解ける・好色に振る舞う)」・「鼻を突く異臭と異常な形状・色彩(魚肉の鮮度劣化)」の意に結び付いたもの。》
〔自ラ下二〕 {れ・れ・る・るる・るれ・れよ}
【狂る・戯る】   (1) 真面目な気持ちもなく何かに打ち興じる。〉 ふざける。れる。はしゃぐ。じゃれ合う。馬鹿騒ぎを演じる。おチャラける。   (2) 〈心に緊張のない状態で振る舞う。〉 打ち解ける。くつろぐ。楽にする。油断する。リラックスする。   (3) 〈わざとだらしなくしたりを見せたりして、相手を誘惑する。〉 色っぽく振る舞う。しなを作る。妖艶な態度を取る。誘いかける。
  【鯘る】   (4) 〈魚肉などの鮮度(主として、色)が落ちる。〉 腐敗する。きが悪くなる。腐る。   
〔自ラ四〕 {ら・り・る・る・れ・れ}
【狂る・戯る】   (1) 〈(上代語)(「たちあざる」の形で)語義未詳:取り乱して騒ぐ、うろうろと動き回る、の意か?〉 騒然となる。右往左往する。どたばたする。
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11 〈A〉 あし【悪し】
《「あし」は本源的に邪悪・凶悪・醜悪なものを積極的に否定する語で、対義語は「良し・好し・善し」。同じ語を「わろし」と読めば多少否定度が落ちて「あまりよくない」の意で、その対義語は「宜し」(まぁ、悪くはない)。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈道義などの価値判断の基準に照らして、正しくない。〉 不正な。邪悪な。よこしまな。よくない。好ましくない。不適切だ。   (2) 〈状況的に見て、思わしくない。〉 具合が悪い。不都合だ。まずい。うまくない。困ったことになった。   (3) 〈(「心地悪し」・「気色悪し」などの形で)体調や精神状態がよくない。〉 だるい。不快だ。思わしくない。体調が悪い。不機嫌だ。   (4) 〈外観がよくない。〉 醜悪だ。醜い。見苦しい。見た目が悪い。みっともない。みすぼらしい。   (5) 〈技術・腕前が高くない。〉 下手くそだ。お粗末だ。未熟だ。低劣だ。稚拙だ。   (6) 〈品質・状態がよくない。〉 粗末だ。低質だ。ちゃちだ。ショボい。   (7) 〈天候・行動・気性が静穏でない。〉 荒々しい。荒れ模様だ。凶暴だ。穏やかでない。おとなしくない。   (8) 〈身分・境遇が不遇である。〉 貧窮した。下賤の。しい。   (9) 〈(上代語)(動詞の連用形について)うまく行なうことができない意を表わす。〉 ・・・しにくい。・・・するのが大変だ。思うように・・・ない。
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12 〈A〉 あした【朝】
《「彼+時」の転で「未だ彼方の未来の時点」が原義。「しだ」は「帰りしな」(帰途)に於ける「しな」の祖先で、「時」を表わす語。「さだ過ぐ」(適切な時機を過ぎる)に於ける「さだ」も同根語。現在から見た「明日」のみならず、過去からみた「翌日」の意もある。》
〔名〕
  (1) 〈前夜から続く暗い時間帯の終わり。〉 朝。夜明け。   (2) 〈出来事があった前夜に引き続く朝。〉 翌朝。明くる朝。明けて。   (3) 〈日付が変わった次の日。〉 翌日。明日。明くる日。次の日。
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13 〈A〉 あそばす【遊ばす】
《「遊興をする」の意の動詞「遊ぶ」の未然形+上代の尊敬助動詞「す」の連語が、中古以降一語化したもの。後に「為」の尊敬語と化し、近世以降は尊敬(・・・なさる)の意を表わす補助動詞となった。》
〔他サ四〕 {さ・し・す・す・す・せ}
  (1) 〈「遊ぶ」の尊敬語。〉 管弦・詩歌・遊芸などをなさる。演奏なさる。おみになる。お楽しみになる。   (2) 「為」の尊敬語。〉 ・・・なさる。お・・・になる。ご・・・になる。   
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14 〈A〉 あそぶ【遊ぶ】
《日常生活や仕事以外の営みへと心・身を解き放つ点では現代日本語や英語の"プレイ(play)"と共通だが、古語の「遊び」の対象は広範囲に及び、「詩歌管弦舞踏」が中核的語義となる。》
〔自バ四〕 {ば・び・ぶ・ぶ・べ・べ}
  (1) 詩歌・管弦・舞踊などを(鑑賞したり自ら行なったりして)楽しむ。〉 芸能(詩歌・管弦・舞踊等)にいそしむ。む。演奏する。踊る。   (2) 〈狩猟・行楽・酒宴などを楽しむ。〉 遊楽(狩猟・行楽・酒宴等)をする。狩りをする。見物に行く。宴会で盛り上がる。   (3) 〈日常の仕事・生活とは関係のない何かをする。〉 遊びれる。打ち興じる。うつつを抜かす。漫然と過ごす。   (4) 〈特定の目的(地)もなく動き回る。〉 そぞろ歩く。漫遊する。物見遊山する。旅をする。   
〔他バ四〕 {ば・び・ぶ・ぶ・べ・べ}
  (1) 〈特定の楽曲・楽器を演奏する。〉 演奏する。奏でる。プレイする。る。
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15 〈A〉 あだ【徒】
《「徒花」(=実を結ぶことのない花)に象徴されるように「のなさ」を意味する語で、「不実」と書くこともある。「成果なし」の意では「はかなし」の類義語・「はかばかし」の対義語、「不誠実」の意では「まめ」の対義語となる。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈(時間的に)永続性がないさま。〉 はかない。かりそめだ。束の間だ。一時的だ。長続きしない。   (2) 〈内容や成果を伴わないさま。〉 無益だ。無駄だ。役立たずだ。甲斐もない。徒労だ。骨折り損だ。空しい。   (3) 〈誠意がないさま。〉 不誠実だ。浮ついている。浮気だ。真面目でない。軽い。
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16 〈A〉 あたふ【能ふ】
《語源は「あたあふ」で、任意の事態に対し能力がきちんと適合する意(否定形での使用が多い)。そのマッチング感覚は「」・「」に通じる。連用形「あたひ」は名詞「価・値」につながり、価値ある存在に相応の対価を支払う意の動詞「与ふ」もここから生まれた。》
〔自ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈(能力的に)行なうことが可能である。〉 ・・・出来る。為し得る。行なえる。   (2) 〈(状況・目的・任務などに)うまく適合する。〉 相応しい。ぴったりだ。適切だ。お似合いだ。   (3) 〈(事態が)道理に照らして、理解できる。〉 納得できる。道理である。もっともだ。合点が行く。よくわかる。
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17 〈A〉 あたらし【惜し】
《価値がありながら不当に低い評価しか受けていない物事に関し、本来の価値に「当たるようにしたい」が「あたらし」の語源。現代語「新しい」は元来「あらたし」だったものが「あたらし」と混同されて中古に成立した勘違い語。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈不当に低評価されていることや、素晴らしいものなのに失われようとしていることを、残念がるさま。〉 惜しい。残念だ。もったいない。折角の・・・なのに。   (2) 〈立派な何かが、いつまでもそのままの状態であり続けることを願うさま。〉 素晴らしい。立派だ。末永く・・・でありますように。
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18 〈A〉 あぢきなし【あぢきなし】
《論理の意の「文付き」に「無し」を付けた上代語「あづきなし」が中古に「あぢきなし」に転じたもの。「あやなし」と同様「論理的不当性」を原義としつつ、そうした論理や理想像から逸脱した現実に対して為す術のない自らの無力感を嘆く語義も派生した。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(論理・倫理の基準に照らして)法外である。〉 無茶苦茶だ。とんでもない。でたらめだ。ひどすぎる。けしからん。まともじゃない。どうかしている。無礼千万だ。話にならない。   (2) 〈(論理・秩序・理想に外れたひどい状況を)自分の力ではどうにもできない無力感を表わす。〉 情けない。どうしようもない。処置無しだ。苦々しい。不甲斐ない。   (3) 〈(行動の結果に期待が持てず)張り合いがないさま。〉 しい。無意味だ。無益だ。やり甲斐がない。   (4) 〈(対人・恋愛関係の不調に)心を乱すさま。〉 切ない。辛い。悲しい。耐え難い。   (5) 〈(「あぢきなく」・「あぢきなう」の形で、副詞的に)確たる理由も予測もないままに事が起こるさま。〉 無性に。思いがけず。わけもなく。意外にも。どうしたわけか。
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19 〈A〉 あつかふ【扱ふ】
《「預く」+反復の接尾語「ふ」で「継続性の受け持ち」の語感を持つ語。「事態・対人関係の適正処理」から「持て余し」・「噂話」まで、その語義は現代の「扱う」より遙かに幅広く、かつ意外なものが多い。整調の接頭語「もて」を付けた「もてあつかふ」の形でもよく用いられる。》
〔他ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈(人について)丁寧に日常の世話をする。〉 面倒を見る。世話する。気を配る。   (2) 〈(本人のいない場面で)話をする。また、(頼まれもせぬのに)やかましく口を出す。〉 する。口出しする。話の種にする。差し出がましく言う。余計な世話を焼く。   (3) 〈適正な処理が出来ずに困る。〉 持て余す。手に余る。処置に苦しむ。扱いに困る。困惑する。   (4) 〈病人の世話をする。〉 看病する。介護する。介抱する。手当をする。   (5) 〈(物・事態・人について)(適正なやり方を考えた上で)取り扱う。〉 処理する。操作する。取り計らう。処遇する。扱う。   (6) 〈(第三者の立場で)対人関係の調整を行なう。〉 仲裁する。調停する。仲を取り持つ。
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20 〈A〉 あづかる【与る・預かる】
《他動詞「預く」に受身の「る」を付けて「他者から預けられる=その対象を自分の分担として受け持つ」の意を表わす他動詞としたもの。自動詞用法は漢文訓読法に由来するもので、必ず格助詞「に」を伴うのが特徴。》
〔自ラ四〕 {ら・り・る・る・れ・れ}
  (1) 〈関係を持ったり、責任を分担する。〉 関わる。関与する。関係する。一役買う。   (2) 〈(本来自分の物ではない恩恵を)分与される。〉 ・・・にありつく。・・・をもらう。分け前をいただく。恩恵にす。   (3) 〈(立場が上の相手から)何らかの扱いを受ける。〉 ・・・していただく。・・・にあずかる。・・・を頂戴する。   
〔他ラ四〕 {ら・り・る・る・れ・れ}
  (1) 〈(他人に属するものを)引き受けて保守する。〉 預かる。管理する。保管する。維持する。   (2) 〈(自身の仕事として)役割を分担する。〉 受け持つ。担当する。
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21 〈A〉 あつし【篤し】
《病気で体温が上がった状態を指す「熱し」に由来するとされるが、必ずしも熱病を意味するものではなく、病気全般・虚弱体質・衰弱を意味する語。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈病気が重いさま。また、体質的に虚弱なさま。〉 衰弱している。弱々しい。病弱だ。病気がちだ。虚弱体質だ。
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22 〈A〉 あて【貴】
《血筋・育ちの良さから来る上品さを示すのが「貴」で、対義語は「卑し・賤し」。捨て置けぬ第一級の存在を表わす「やんごとなし」や、個性の輝きに発する「優」「艶」などの讃辞に比すれば、しかし、「貴」はごくおとなしい高貴さを表わす語に過ぎない。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈社会的な階層が高い。〉 高貴だ。上流階層に属する。身分が高い。家柄・血筋がよい。   (2) 〈(容姿・物腰・性格・筆跡などに)育ちの良さが表われている。〉 気品がある。上品だ。品が良い。優雅だ。優美だ。
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23 〈A〉 あな【あな】
喜怒哀楽の感情の高ぶりを表わす感動詞。単独ではあまり用いず、直後に形容詞や形容動詞の語幹(または形容詞的意味を持つ体言・準体言)を伴う。中世以後は「あら」が「あな」に取って代わり、現代に至る。》
〔感〕
  (1) 〈喜怒哀楽の感情の高ぶりを表わす。〉 ああ。あら。おや。まあ。おお。
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24 〈A〉 あながち【強ち】
《「あな」を「」に読み替えて解釈すると理解できる古語。「あな=自己」+「がち=勝ち」で、自分の内なる思いを抑制しつつ他者との正常な相対的対応を保つだけの余裕がない、というのが原義。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈(他者の意向を顧慮する余裕もなく、自分の思惑だけで事を運ぼうとして)他者の不興を買うさま。〉 強引だ。無理矢理だ。一方的だ。身勝手だ。なりふり構わない。   (2) 〈(自分がいかに必死かを主張するかのごとく)一つのことに執心するさま。〉 一途だ。ひたむきだ。情熱的だ。まっしぐらだ。ぞっこんだ。   (3) 〈(非難に値するほどに)適正水準を逸脱しているさま。〉 あんまりだ。ひどい。度を超している。・・・にもほどがある。   (4) 〈(下に打消・反語の表現を伴い「あながちに」の連用形で)全面的に否定すべきでないことを表わす。〉 一概に・・・ない。必ずしも・・・ない。   
〔副〕
  (1) 〈(下に打消の表現を伴い「あながち」の副詞形で)全面的に否定すべきでないことを表わす。〉 一概に・・・ない。必ずしも・・・ない。   (2) 〈(下に打消・禁止の表現を伴い「あながち」の副詞形で)強い禁止を表わす。〉 決して・・・するな。めったなことで・・・するな。
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25 〈A〉 あはひ【間】
《「あひあひ」の略で、物理的には「相対するものどうしの形成する空間」、社会的には「人と人との関係」、抽象的には「人・物・色合いなどの取り合わせ」や「時間・場面の巡り合わせ」の意を表わす。》
〔名〕
  (1) 〈向き合うものどうしの間の空間。〉 間隔。間合い。距離。隙間。真ん中。中間。   (2) 〈人と人との関係。〉 間柄。関係。仲。   (3) 〈人・物・色調などの相互関係。〉 釣り合い。取り合わせ。組合せ。配合。   (4) 〈時間・場面の巡り合わせ。〉 情勢。都合。時節。折り合い。巡り合わせ。
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26 〈A〉 あはれ【あはれ】
《対象に深く感情移入する時に自然と口から漏れ出す「あぁ、あれ・・・」に由来する語。現代では悲哀の感情のみを指すが、古文では喜楽・感動表現語としても用いる。鎌倉期以降には促音挿入した「あっぱれ(天晴れ)」も生まれた。》
〔名〕
  (1) 〈思わず見入ってしまうような深い味わい。〉 しみじみとした情趣。感慨深さ。心かれる何か。風情。感動。   (2) 〈人間なら当然持っているの他者への慈愛の気持ち。〉 情愛。人間的感情。人情。共感。いたわり。慈愛。情け。   (3) 〈異性に恋いがれる思い。〉 恋情恋心。愛情。淡い思い。   (4) 〈好ましくない状況にある何かを見て、心が痛む思い。〉 悲しみ。哀感。哀愁。寂しさ。慨嘆。哀れみ。   
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈対象の素晴らしさに、自然と心が引き付けられる。〉 しみじみと心かれる。趣深い。味わい深い。情趣がある。風情がある。感慨深い。感動させられる。心打たれる。心にしみる。   (2) 〈対象の素晴らしさに、第三者的立場から、賛嘆の念を禁じ得ない。〉 見事だ。立派だ。感心だ。素晴らしい。大したものだ。賞賛すべきだ。   (3) 〈対象の持つ魅力に、思わず引き付けられ、可愛がりたくなる。〉 いとおしい。かわいい。素敵だ。   (4) 〈他者に対する思いやりが深い。〉 情愛が豊かだ。いたわり深い。情が深い。優しい。繊細な気遣いがある。   (5) 〈(何かを見て、ではなく)ただ何となく自身の気持ちがしみじみと沈んでゆく。〉 心底寂しい。しみじみと悲しい。何ともやりきれない。   (6) 〈好ましくない状況にある何かを見て、心が痛む。〉 可哀想だ。気の毒だ。いたわしい。   (7) 〈(主に宗教関係で)寛大な御加護や強大な霊威に、心から感謝・賛嘆の念が沸いてくる。〉 尊い。れ多い。有り難い。もったいない。寛大だ。畏敬の念を禁じ得ない。   
〔感〕
  (1) 〈対象に深く感情移入した結果、自然に沸き上がる悲哀・喜楽・賛嘆の念を表わす語。〉 ああ。おお。まあ。なんと。これは・・・。
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27 〈A〉 あひだ【間】
『接続:接助={連体形}』 《空間的に近接した物事の「隙間」や、一定範囲内の空間的な「距離」が原義。連続の範囲が時間的に拡大されると「期間」、対人関係に言及すると「間柄」の意になる。「原因(・・・なので)」・「契機(・・・したところ)」の接続助詞用法は中世以降の漢文体でのもの。》
〔名〕
  (1) 〈複数のものの間の、空間的・時間的な欠落部分。〉 隙間。合間。間隔。空き地。抜け落ち。   (2) 〈ある一定範囲内の空間的・時間的連続。〉 区画。距離。期間。領域。範囲。   (3) 〈対人関係における近しさ。〉 間柄。仲。関係。   
〔接助〕
  (1) 〈(中世以降)原因・理由を表わす。〉 ・・・なので。・・・だから。・・・のゆえに。・・・ために。・・・なばかりに。・・・のせいで。・・・ということで。   (2) 〈(中世以降)ある事態に引き続き、別の事態が起こることを表わす。〉 ・・・(した)ところ。・・・(する)と。・・・(だ)が。
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28 〈A〉 あふ【敢ふ】
「合ふ」同根語で、「事態・相手に合わせて動く」ことから「負けずに対処する」の語感が生じる。類義語の「耐ふ」とは異なり、「敢ふ」は否定的文脈での(打消・疑問・反語表現を伴う)使用例が多い。》
〔自ハ下二〕 {へ・へ・ふ・ふる・ふれ・へよ}
  (1) 〈(不利な状況に)屈せずにいる。〉 耐える。我慢する。こらえる。持ちこたえる。   (2) 〈(満足とは言えないが)めるほどではない。(多く「あへなむ」の形を取る)〉 大目に見る。差し支えない。まぁよしとする。斟酌してやる。んでやる。   
〔補動ハ下二〕 {へ・へ・ふ・ふる・ふれ・へよ}
  (1) 〈(動詞の連用形に付いて)完全にやり通す。(多く打消・疑問・反語表現を伴い「不可能」の意となる)〉 ・・・しおおせる。完全に・・・する。すっかり・・・する。・・・し切る。・・・しげる。
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29 〈A〉 あふ【合ふ・会ふ・逢ふ・婚ふ】
《別々のものが集合する意味を多岐亘って表わす語で、現代語同様の語義が多いが、古語で多用される要注意語義は「男と女として結ばれる」。》
〔自ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈(別々のものが)一ケ所に集まる。〉 集合する。融合する。重なる。一つになる。   (2) 〈(異なるものどうしが)ぴたりとうまく合う。〉 調和する。合致する。適合する。釣り合う。相応しい。お似合いだ。うってつけだ。・・・にう。   (3) 〈(偶然または約束して)人・物事に会う。〉 出会う。出くわす。遭遇する。対面する。面会する。顔合わせする。   (4) 〈(夫婦または恋人どうしとして)男と女が結ばれる。〉 結婚する。肉体関係を持つ。男女の関係になる。りを結ぶ。   (5) 〈(敵どうしとして)対面する。〉 張り合う。対抗する。立ち向かう。向き合う。競う。争う。   (6) 〈(動詞の連用形に付いて、補助動詞的に)共に何かを行なう意を表わす。〉 一緒に・・・する。互いに・・・し合う。一斉に・・・する。   
〔他ハ下二〕 {へ・へ・ふ・ふる・ふれ・へよ}
  (1) 〈複数のものを一つにする。〉 合わせる。混ぜる。一緒にする。まとめる。
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30 〈A〉 あへなし【果へ無し】
《動詞「敢ふ」の連用形+形容詞「無し」で、取り返しの付かぬ事態を前にして、その状況に対処する手段も意味も気力もない無力感を表わす語。様々な訳し方が考えられるが、その「無力感」をさせる原因を見据えることで、自然と訳語も思い浮かぶであろう。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(絶望的事態を前にして)無力感に襲われるさま。〉 処置なしだ。手遅れだ。今となってはどうしようもない。いかんともし難い。   (2) 〈(予想と違う事態に)脱力感に浸るさま。〉 がっかりだ。期待外れだ。あっけない。手応えがない。失望だ。溜息が出る。こんなじゃあなかった。張り合いもない。   (3) 〈(主として、人の死にまつわる事情に関して)あまりに脆くて心が痛む。〉 無惨だ。むごたらしい。痛ましい。
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31 〈A〉 あまた【数多】
「余り」の語幹に、形状を表わす接尾語「た」の付いた語。上代には、程度の甚だしさ(非常に・・・)や、部分否定(さほど・・・ない)の意を表わす場合もあったが、中古以降は専ら数量(三~四個から大量まで、範囲は広い)について「沢山若干」の意のみを表わす。》
〔副〕
  (1) 〈複数、または、数量が多いことを表わす。〉 たくさん。いくつか。多数。大量。数多く。膨大に。   (2) 〈(上代)(打消の語を伴って)極端な程度ではないことを表わす。〉 たいして・・・ではない。さほど・・・ない。
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32 〈A〉 あめり【あめり】
《ラ変動詞「あり」の終止形+推量の助動詞「めり」の「ありめり」が、音便形「あんめり」となったものの、中世以前は撥音を表わす「ん・ン」文字は存在しなかったので、撥音無表記語としたもの。平安期の文物ではこの種の語は「あめり」と書いて「あんめり」と読んだ。》
〔連接語〕 《あり〔自ラ変〕+めり〔助動ラ変型〕推量》
  (1) 〈(視覚情報、または、伝聞・推定に基づいて)何らかの存在について非断定的・婉曲に述べる。〉 あるようだ。あるらしい。あるように見える。ありそうに思える。
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33 〈A〉 あやし【怪し・奇し・異し】【賤し】
《驚嘆の感動詞「あや」の形容詞化。現代語の「怪しい」同様、自身の理解を超えた物事に対する「不可思議」の念を原義とする。貴族階層から見て「理解不能な別世界」としての「下賤庶民の様態」をも表わす語義に於いては「いやし」と同義語となる。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
【怪し・奇し・異し】   (1) 〈(人知を越えた理解不能なものに対する)驚嘆の念を表わす。〉 不思議だ。神秘的だ。奇妙だ。謎めいている。得体が知れない。   (2) 〈(良い意味でも悪い意味でも)普通のものと異なるさま。〉 珍しい。普通じゃない。異様だ。珍奇だ。尋常一様ではない。ただものではない。   (3) 〈(普通と異なるために)疑念や不安を招くさま。〉 不審だ。妙だ。どこかおかしい。いかがわしい。疑わしい。   (4) 〈(道理や礼儀に反しているために)非難したい感じだ。〉 けしからぬ。良くない。感心しない。不都合だ。
  【賤し】   (5) 〈身分や地位が低い。〉 しい。卑賤の。下賤の。下々の。   (6) 〈(身なりや行動様態が)美しくない。〉 見苦しい。聞き苦しい。みすぼらしい。粗末だ。
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34 〈A〉 あやなし【文無し】
《自然現象の中に見られる一定の様式・秩序や物事の文様を示す「あや」+「なし」で、パターン認識不能な不可解さ、が原義。同根語「あいなし」が主観的嫌悪感に重きを置くのに対し、「あやなし」は非論理性に対する非難の色彩が濃い。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(対象に規則性や秩序がないため)論理的に納得できない。〉 わけがわからない。筋が通らない。不可解だ。非論理的だ。   (2) 〈(物事の存在や行動に関して)正当な理由・根拠・意味・目的が見出せない。〉 無意味だ。いわれがない。つまらない。詮無きことだ。・・・してもしょうがない。
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35 〈A〉 あやにく【生憎】
《驚嘆の感動詞「あや」に、形容詞「憎し」の語幹が付いた語とされ、自身が妥当と考える程度や時機から外れる事態に対する不満感を表わす語。自然現象や出来事に関し「予想外に状況が悪い」、人の行動に関し「予想外にすぎる/甚だしすぎる」の意を表わす。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈(自然現象・出来事などについて)予想・期待に反して、時機・状況が悪い。〉 あいにくだ。が悪い。都合が悪い。具合が悪い。折りが悪い。   (2) 〈(人為的行動について)予想・期待に反して、あまりにひどい、または、程度がはなはだしい。〉 意地悪だ。やり過ぎだ。厳しい。無慈悲だ。何もそこまでしなくてもよさそうなものを。   
〔副〕
  (1) 〈時機・場合がよくないことを表わす。〉 あいにく。折悪しく。残念ながら。
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36 〈A〉 あらぬ【あらぬ】
《形式上はラ変動詞「あり」の未然形+打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」だが、意味上は「然+有らぬ」(それとは違う)なので、この「あり」は補助動詞である。「異なる」を原義とし、そこから「本来あるべき姿ではない=異常な・けしからぬ」の語義が生じた。》
〔連体〕
  (1) 〈(既出のもの、または、予想していたものとは)異なる。〉 別の。他の。違った。   (2) 〈(世間の基準や自身の予想に反するものに対する)驚嘆の気持ちを表わす。〉 思いも寄らぬ。意外な。異常な。異様な。   (3) 〈(基準値や理想の姿にそぐわないものに対する)強い非難の気持ちを表わす。〉 もってのほかの。あるべきでない。望ましくない。不都合な。不適当な。とんでもない。許し難い。
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37 〈A〉 あらまし【あらまし】
《動詞「あり」の未然形+推量助動詞「まし」の「あったらいいな」を原義とする「予定」系の語義(予定・願望・計画・空想・虚構・・・)と、形容詞「荒まし」・「粗まし」の持つ「大まかに見る」に由来する「概略」系の語義に二分される。》
〔名〕
  (1) 〈(心に思い描いた)将来の図式、または、望まれる理想の未来像。〉 予定。願望。計画。心づもり。予測。   (2) 〈(大雑把にとらえた)物事の全体像。〉 概略。粗筋。だいたいの内容。大筋。慷慨   (3) 〈(理想・想像のままに)現実を無視して思い描いた物事。〉 絵空事虚構。空想。うそ偽り。嘘八百。口から出任せ。   
〔副〕
  (1) 〈(細部の違いや例外は別にして)全体的に見れば。〉 おおよそ。大体。おおむね。概して。大概。一般に。
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38 〈A〉 あらまほし【有らまほし】
《動詞「あり」の未然形+希望の助動詞「まほし」の連語と見るならば「(自身の願望を表わして)そうあってほしい」、一語の形容詞と解釈すれば「(自身の願望や評価基準に適っていて)理想的だ」と、意味が分かれる。》
〔連接語〕 《あり〔自ラ変〕+まほし〔助動シク型〕希望》
  (1) 〈(自身の願望を表わして)そうあることが望ましい。〉 ・・・でありたい。・・・であってほしい。・・・が望ましい。   
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈(対象への評価を表わして)望ましい。〉 理想的だ。申し分ない。好ましい。言うことがない。
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39 〈A〉 ありあけ【有り明け】
《「(月がまだ空に)有り」ながらも「(夜が)明け」ること。月の出が遅い十六夜以降に特有の現象で、「二十日余りの月」が特に有名。》
〔名〕
  (1) 〈陰暦十六日以降、空に月が残った状態で夜が明けること。また、その時分、または、その頃の月。〉 残月。陰暦十六日から二十日頃の夜明け。   (2) 〈(「有り明け行灯」の略)夜明けまで点灯しておく明かり。〉 常夜灯。有明行燈
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40 〈A〉 ありがたし【有り難し】
「有る」(=存在する)ことが「難し」(=困難)という希少性を表わす原義「珍しい」が、鎌倉期以降、滅多にないことを尊ぶ「感謝すべき」の語義に結び付いて現代に至る。様々な悪条件のため「生存・実現困難」/神仏の霊験功徳が「勿体ない」の意もあるが、。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈滅多に発生・存在しない。〉 に見る。珍しい。滅多にない。希少性が高い。   (2) 〈類を見ないほどに優れている。〉 無類の見事さだ。この上なく立派だ。比類なき素晴らしさだ。   (3) 〈(神仏の霊験功徳に対し)感謝・尊崇・畏敬の念が沸き上がる。〉 恐れ多い。かたじけない。もったいない。ありがたい。感謝の至りだ。身に余ることだ。   (4) 〈実現・生存が困難である。〉 難しい。生き辛い。楽じゃない。しんどい。きつい。かつかつだ。いっぱいいっぱいだ。
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41 〈A〉 ありく【歩く】
《中古の和文で好まれた語で、上代語や漢文訓読文では同じ「歩く」と書いても「あるく」と読み、中世以降この読みが優勢となって現代に至る。》
〔自カ四〕 {か・き・く・く・け・け}
  (1) 〈人間が(足・乗り物を使って)移動する。動物が動き回る。〉 出歩く。移動する。うろつき回る。   (2) 〈(人間が)特定の目的地を目指して移動する。〉 訪ね回る。あれこれ巡る。巡回する。行き来する。往来する。   (3) 〈(動詞の連用形に付いて、補助動詞的に)様々な場所を移動して回る。〉 ・・・して回る。あちこちで・・・する。ほうぼうで・・・する。   (4) 〈(動詞の連用形に付いて、補助動詞的に)長い期間、同じことをし続けて過ごす。〉 ・・・して過ごす。・・・し続ける。絶えず・・・する。
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42 〈A〉 あるじ【主・主人】【饗】
《現代語と同じ「主人」の語義よりも、「主人役として客人をもてなす」の語義(「饗設け」の略)や「その道の第一人者」の語義(「・・・の」の形で用いる)が古語では重要。》
〔名〕
  【主・主人】   (1) 〈(客人・家臣などに対する語)家・一族・国などの中心人物。〉 主人。主君。持ち主。家主。首長。   (2) 〈(「・・・の」の形で)その道に熟達した人。〉 第一人者。専門家。師匠。大御所。プロ。マエストロ。   
〔名・自サ変〕 {せ・し・す・する・すれ・せよ}
【饗】   (1) 〈(「饗設け」の略)主人として客人をもてなすこと。〉 接待。饗応。もてなし。御馳走
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43 〈A〉 いう【優】
「優」の原義は「俳優」=「神前で各種の芸を演じること」で、「戯れ偽り」の語義はここに由来する。が、古語「優」の主たる語義は、同音「」の持つ「豊潤」の語義に発する「優秀」・「優美」であり、「艶」と並んで平安的理想美を代表する語となった。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈(性格・外見・振る舞い・書・画・音楽などについて)人物の物質的充足や精神的余裕から生まれる美が感じられる。〉 優美だ。優雅だ。上品だ。優しげだ。おっとりしている。自然体の美がある。伸びやかに美しい。あくせくしていない。わざとらしさがない。作り物でない内部からみ出るような美である。   (2) 〈(他者との相対比較上)まさっている。〉 優秀だ。卓越している。勝っている。抜きん出ている。他を圧している。他とはひと味違う。殊勝だ。見上げたものだ。格別だ。   (3) 〈(物質的に)豊かである。〉 潤沢だ。富裕だ。豊潤だ。金持ちだ。豊かだ。   (4) 〈(本気・本物ではなく)かりそめ・いつわりだ。〉 ほんのれだ。冗談だ。うそ偽りだ。
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44 〈A〉 いかが【如何】
《形容動詞「如何なり」の連用形「いかに」が副詞化したものに疑問・反語の係助詞「か」が付いた「いかにか」が「いかんが」と音便化したものを撥音無表記化したものが「いかが」。「が」の正体は係助詞「か」なので、係り結びの法則から文末は連体形になる。》
〔副〕
  (1) 〈(疑問)(様態に関し)疑問の意を表わす。〉 どのように・・・か。どう・・・か。   (2) 〈(反語)(様態に関し)疑問の形を取りつつ実質的に否定の意味を表わす。〉 どうして・・・か(いや・・・ない)。果たして・・・なものであろうか?・・・ではなかろう。   (3) 〈(事態の展開に関し)心配の念を表わす。〉 どうなってしまうだろう。まずいのではないか。困りはすまいか。危うい感じだ。やばそうだ。   (4) 〈(「いかがある」・「いかがあらむ」の略形として文末を「いかが」で締めて)相手への問い掛け・自信のなさ・非難の気持ちを表わす。〉 どうであろうか。あなたはどう思うか。いかがなものでしょうか。それでよいのであろうか。   (5) 〈断定の程度を強調する。〉 どんなにか。どれほど。それはもう。なかなかどうして。なんのなんの。
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45 〈A〉 いかで【如何で】
《形容動詞「如何なり」の連用形「いかに」に手段・方法の格助詞「して」が付いた「いかにして」が「いかにて」に転じたものが音便化した「いかんで」から「ん」が消失したものが「いかで」。脈絡に応じて「疑問」・「反語」・「願望・意志」へと意味が分かれる。》
〔副〕
  (1) 〈(疑問)(様態に関し)疑う意を表わす。〉 どのようにして・・・か。いかに・・・だろうか。どう・・・したものか。   (2) 〈(反語)(様態に関し)疑問の形を取りつつ、実質的に否定の意を表わす。〉 どうして・・・なものか。・・・ないではないか。   (3) 〈(願望・意志)(「じ」・「てしがな」・「にしがな」・「ばや」・「まほし」などの語句を伴い)(いかなる手段を用いてでも)そうしたいと強く望む意を表わす。〉 是非とも。何とかして。どうにかして。何としても。何が何でも。
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46 〈A〉 いかに【如何に】
《形容動詞「如何なり」の連用形が単一の副詞・感動詞と化したもの。》
〔副〕
  (1) 〈(内容・状態についての)疑問の意を表わす。〉 どんな風に・・・か。どのように・・・か。どう・・・か。   (2) 〈(原因・理由についての)疑問の意を表す。〉 どうして・・・か。何故・・・か。どんなわけで・・・か。   (3) 〈(疑問表現の形で)程度のだしさを強調する。〉 どんなにか・・・(なことか)。さぞかし・・・。何とまあ・・・。   (4) 〈(間投表現的に用いて)驚きれる意を表わす。〉 何とまあ。いやはや。しかしまあ。   (5) 〈(逆接の仮定条件を件って)譲歩構文を形成する。〉 たとえどんなに・・・でも。いくら・・・だとて。百歩譲って・・・だとしても。・・・とは認めるにしても。それは確かに・・・かもしれないが、しかし。   
〔感〕
  (1) 〈相手に呼びかける語。〉 おい。やあ。これこれ。   (2) 〈(述語として用いて)内容・状態を相手に問い掛ける。〉 どのようなものか。どういう様子か。どんな感じか。
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47 〈A〉 いかめし【厳めし】
《「厳し」や「」と同根語で、「内部に充満した力が外部に(角張った形で)出現する」のが「いか」。見た目や風評から感じる力強さの原義から、後には雰囲気としての厳かさに転じ、単に「程度が強烈」の語義も加わるに至った。中世にはク活用でも用いた。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈(見た感じ、聞いた感じが)他者を圧倒するほどの力を感じさせる。〉 威風堂々たるものだ。威厳がある。威圧的だ。度肝を抜く勢いだ。盛大だ。豪勢だ。大がかりだ。大規模だ。ド派手だ。ブイブイ言わせてやがる。   (2) 〈(姿・形が)圧倒的な力強さを感じさせる。〉 見るからにたくましい。いかつい。ごつい。巨大だ。壮大だ。強そうだ。立派だ。   (3) 〈程度のだしさを表わす。〉 激烈な。凄まじい。激しい。厳しい。凄い。大変な。猛烈な。ぞっとするほどの。
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48 〈A〉 いさむ【諫む】【禁む】
《「人はいさ心も知らず」(=人の心は、さぁて、どんなものかわかりません)の句(紀貫之)や、「いさかひ(諍ひ)」(=口論・喧嘩)に含まれる拒否・抑止系の語「いさ」に「む」を付けて動詞化し、相手の行動に対し否定的に作用する「禁止・忠告」の語義を持たせたもの。》
〔他マ下二〕 {め・め・む・むる・むれ・めよ}
【禁む】   (1) 〈(権威・強制力を伴って)相手の行動を差し止める。〉 禁止する。抑止する。制止する。引き留める。
  【諫む】   (2) 〈(道理に照らして)相手に、その行動の不当性を訴える。〉 忠告する。教えす。意見する。訓戒を垂れる。いさめる。諫言する。悔い改めるよう促す。
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49 〈A〉 いさよふ【いさよふ】
《「諍ひ」・「諌む」にも共通する「相手の行動や事態の進行を抑える」の意の「」に、「漂ふ」の語尾と同じ「よふ」を付けて「揺れ動く」感じを出して「すんなり進まず、ぐずぐずする」の意とした語。中世以降は「いざよふ」と濁音化した。》
〔自ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈(月・波・雲などの自然現象や、人間の心理が)ぐずぐずと停滞して、すんなりとは進まない。〉 ためらう。躊躇する。ぐずぐずする。すんなり行かない。
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50 〈A〉 いそぎ【急ぎ】
《動詞「急ぐ」の連用形の名詞化。現代語同様の「大慌て」の意もあるが、古語で大事な語義は「準備」である。》
〔名〕
  (1) 〈事を早く運ぼうと、せっせと努めること。また、急を要する事態。〉 大急ぎ。急用。大慌て。気がせくこと。火急の用件。   (2) 〈(間近の行事に備えて)手筈を整えること。また、(その場で行なうのではなく)前もって用意しておくこと。〉 準備。支度。用意。下ごしらえ。事前調整。
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51 〈A〉 いそぐ【急ぐ】
《「勇み立つ」意の「いそ」に発し、「いそいそ」(=甲斐甲斐しい)、「勤し」(=勤勉だ)、更には「忙し」などとも同根語で、止まることなくせっせと立ち働くリスのような動的緊張感を伴う語。「せっせと急ぐ」の語義は現代語と同じだが、「支度する」は古語ならではの語義。》
〔自ガ四〕 {が・ぎ・ぐ・ぐ・げ・げ}
  (1) 〈事を早く運ぼうと、せっせと努める。〉 急ぐ。慌てる。せく。せっかちに行なう。   
〔他ガ四〕 {が・ぎ・ぐ・ぐ・げ・げ}
  (1) 〈(間近の行事に備えて)手筈を整える。〉 準備する。支度する。用意する。下ごしらえする。
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52 〈A〉 いたく【甚く】
《形容詞「甚し・痛し」の連用形の副詞化。ウ音便の「いたう」も多用され、この形は同根語の「いと」に極めて近い;が、両者は修飾対象が異なり、「いと」が主として形容詞・形容動詞・副詞の強調に使われるのに対し、「いたく・いたう」は主に動詞を修飾する。》
〔副〕
  (1) 〈(主に動詞を修飾して)ある動作が極端に行なわれるさまを表わす。〉 極端に。ひどく。激しく。だしく。強烈に。猛烈に。たいそう。めちゃくちゃ。   (2) 〈(下に打消・禁止の語を伴って)程度がはなはだしくないことを表わす。〉 それほど・・・ない(するな)。あんまり・・・ない(するな)。たいして・・・ない(するな)。
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53 〈A〉 いたし【痛し・甚し】
《「痛む」や「致す」と同源で、良くも悪くも「極限状態にある何かに触れて、肉体的・精神的に強い刺激を受ける」意味から、「痛痒を感じる」・「感動する」の語義が生まれ、やがて連用形「いたく」が「極端な程度」を表わす副詞化するに至った。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(主に連用形「いたく」またはウ音便「いたう」の形で)程度のだしいことを表わす。〉 だしく。ひどく。激しく。大いに。極端に。   (2) 〈(対象の素晴らしさに)感嘆の念を禁じ得ない。〉 見事だ。立派だ。素晴らしい。感にえない。   (3) 〈(肉体的に)苦痛を感じる。〉 痛い。苦しい。辛い。   (4) 〈(精神的に)苦痛を感じる。〉 心苦しい。痛ましい。心が痛む。不憫だ。気の毒だ。可哀想だ。見るにえない。聞くも痛々しい。
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54 〈A〉 いだす【出だす】
《自動詞「出づ」の他動詞形。古文では「出す」と表記してあっても「いだす」と読む場合が殆どなので要注意。》
〔他サ四〕 {さ・し・す・す・す・せ}
  (1) 〈(建物・入れ物などの)内から外に出す。〉 出す。外に出す。持ち出す。   (2) 〈(内面の思いを)言葉や態度で表わす。〉 口に出して言う。素振りに出す。言い表わす。はっきりさせる。明示する。   (3) 〈(詩歌・文章を)声に出して読み上げる。〉 吟詠する。高吟する。うそぶく。音読する。歌う。   (4) 〈(動詞の連用形に付いて、補助動詞的に)動作を内から外に向けて行う。〉 ・・・出す。外に向けて・・・する。   (5) 〈(使者を)派遣する。(人を)出発させる。〉 わす。やる。よこす。送る。   (6) 〈(災害や不祥事を)発生させる。〉 引き起こす。生じさせる。招来する。
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55 〈A〉 いたづら【徒ら】
《語源には諸説あるが、「いた/いと」(=きわめて)+「」(=空虚だ)という説が語感的に納得しやすい。期待に反する結果に心が空っぽになる主観的空疎感を表わす語で、最初から対象自体が存在しない「空し・虚し」の本源的空白感とは異なる。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈(あれこれやっても結局)何の役にも立たない。または、(やる前からすでに)無意味であることがわかりきっている。〉 しい。役立たずだ。やっても仕方がない。あってもなくても同じようなものだ。何の価値もない。意味がない。無駄だ。無益だ。   (2) 〈(本来取るべき行動が取れずに)時間・労力を持て余している。〉 暇だ。手持ち無沙汰だ。何もすることがない。無為に時を過ごしている。くすぶっている。欲求不満だ。   (3) 〈(本来あるべき物事や情趣が)何もない空白状態にある。〉 がらんとしている。風情のかけらもない。空っぽだ。何一つない。殺風景だ。
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56 〈A〉 いたはし【労し】
《「」=「(自分が)苦しい状況にある」系の「(病気や怪我で)苦しい」・「(心労・尽力で)骨が折れる」の語義と、苦境にある誰かに対し同情し手を差し伸べたい系統の「気の毒だ」・「いたわってやりたい」の語義に大別される。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈(自分自身が、病気や怪我で)苦痛を感じる。〉 苦しい。痛い。苦痛である。   (2) 〈(自分自身が、心遣い・尽力して)苦労する。〉 骨が折れる。一苦労である。心労が多い。気苦労が絶えない。楽じゃない。しんどい。きつい。辛い。   (3) 〈(病気の者や弱小な者に対して)大事にしたい気持ちになる。〉 大切にしたい。いたわりたい。いとおしい。世話してやりたい。守ってあげたい。   (4) 〈(苦境にあえぐ他人に同情して)心が痛む。〉 気の毒だ。 痛ましい。辛い。可哀想だ。哀れだ。不憫だ。見ちゃいられない。
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57 〈A〉 いたはる【労る】
《語源は「痛」。自動詞は「(自分が)苦境に陥る」・「気苦労しながら立ち回る」、他動詞は「苦境にある他者をあれこれ気遣う」・「病気に苦しむ者を治す」の意味。現代語では他動詞(他者へのいたわり)のみ残り、自動詞(自身の病苦・苦労)の語義は死語となった。》
〔自ラ四〕 {ら・り・る・る・れ・れ}
  (1) 〈(自分自身が)あれこれと気を回したり手を尽くしたりする。〉 骨を折る。尽力する。苦労する。   (2) 〈(自分自身が)病気にかかって苦しむ。〉 病気になる。病む。う。病苦にぐ。   
〔他ラ四〕 {ら・り・る・る・れ・れ}
  (1) 〈(弱い立場にいる者に同情して)あれこれ気遣い、世話をする。〉 面倒を見る。お世話する。養う。手厚くもてなす。労苦をねぎらう。丁重に扱う。   (2) 〈(他人、および自分自身の)病気を摂生して治す。〉 療養する。治療する。看病する。介抱する。療治する。養生する。静養する。
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58 〈A〉 いつく【斎く】【傅く】
《「厳・稜威」=「神(または現人神たる天皇)の恐ろしいまでの威光」を畏敬し慎んで守り奉る、が原義。これが転義した「子供を大事に養育する」の語義にも、「敬い畏まりつつ育てる」の語感が含まれるため、実子でない他人様の子を預かって育てる場合が多い。》
〔自カ四〕 {か・き・く・く・け・け}
【斎く】   (1) 〈(心身のれを取り除き)慎んで神に奉仕する。〉 精進潔斎して神に仕える。神を祭り奉る。   
〔他カ四〕 {か・き・く・く・け・け}
【傅く】   (1) 〈(大事・神聖なものとして)(子供や宝物を)大切に育てる。守る。〉 大事に養育する。秘蔵する。俗世のに触れさせない。悪い虫が着かないようにする。
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59 〈A〉 いと【いと】
《程度の甚だしさを表わす形容詞「甚し・痛し」の語幹「甚」母音交替形で、「甚く・痛く」同根語。「いたく(いとう)」が主に動詞を修飾するのに対し、「いと」は主に形容詞・形容動詞・副詞を強調する。「いといと」・「いとしも」・「いとも」などの強調形もある。》
〔副〕
  (1) 〈(主に形容詞・形容動詞・副詞を修飾して)程度がだしいさまを表わす。〉 とても。非常に。たいそう。大いに。それはもう。本当に。全く。実に。   (2) 〈(下に打消の語を伴って)程度がはなはだしくないことを表わす。〉 それほど・・・ない。あんまり・・・ない。たいして・・・ない。さほど・・・ない。さして・・・ない。
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60 〈A〉 いとけなし【幼けなし・稚けなし】
年端も行かぬ若年であることや、年齢不相応に思考・行動が拙劣であることに言及する語。「いと」は「幼少」を表わし(例:「従兄弟」)、「け」=「気」で「気配・感じ」を表わす。最後に付く「なし」は程度の甚だしさを意味する「甚し」であって、「無し」ではない。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(年齢的に、または、実年齢に比して行動・精神が)幼い。〉 幼少だ。子供っぽい。年少だ。幼い。あどけない。幼稚だ。ガキっぽい。
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61 〈A〉 いとど【いとど】
《程度の甚だしさを強調する副詞「いと」を畳語化した「いといと」の転。元々甚だしかった程度が更にその度合いを増すのが原義。平安時代には、和文には「いとど」、漢文訓読には「ますます」が好んで用いられた。形容詞は「いとどし」。》
〔副〕
  (1) 〈程度がますますだしくなるさま。〉 いよいよ。ますます。一層。   (2) 〈(「いとど+形容詞・形容動詞」の形で)最初から存在していた状況が、ある事態が加わることで更にその度を増して行くさま。〉 そうでもなくても・・・だというのに。ただでさえ・・・なのに。元来の・・・に更に輪を掛けて。   (3) 箇条書き的に陳述を加えて駄目押しする語。〉 その上。加えて。更にまた。ついでにまた。もひとつおまけに。
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62 〈A〉 いとふ【厭ふ】
《「極限」の意の「痛・甚」に由来し、極端にひどいものを見た時の反応が、「嫌悪忌避」というのが「厭ふ」・「いとはし」更には「いとほし」の元になった語。これらの語には「同情・愛護」の意もある(特に「いとはし」・「いとほし」)が、原義は「あららら・・・こりゃひどい・・・」である。》
〔他ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈嫌なものとして避ける〉 忌避する。嫌う。敬遠する。遠ざける。いやがる。煙たがる。   (2) 〈(多く「世を厭ふ」の形で)俗世を罪深いものとして捨て去る。〉 出家する。遁世する。世捨て人になる。世の中との交わりを断つ。世間と没交渉となる。   
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63 〈A〉 いとほし【いとほし】
《小さく可愛い相手に対する「いとおしい」の語義のみ現代語には残るが、語源的には「痛・甚」であり、弱小なものや苦境にあるものを見て心が痛む感覚に由来する語なので、「可哀想」の意もあり、逆に、ひどい状態の何かを「嫌がる」という敬遠の意にもなる。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈(嫌なものとして)避けたい気持ちを表わす。〉 嫌だ。困る。迷惑だ。敬遠したい。いとわしい。いまいましい。勘弁してほしい。   (2) 〈(苦境にある他者を見て)同情する気持ちを表わす。(自分自身の現状を客観的に見て、みじめだ、の意を表わすこともある)〉 不憫だ。我ながらめだ。可哀想だ。気の毒だ。心が痛む。哀れだ。   (3) 〈(弱小な存在に対して)思わず手を差し伸べたくなる気持ちを表わす。〉 いじらしい。けなげだ。守ってあげたい。胸がキュンとなる。居ても立ってもいられない気になる。黙って見てはいられない気分だ。かわいい。いとおしい。
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64 〈A〉 いにしへ【古へ】
《「過ぎ去る」意の動詞「往ぬ」に過去の助動詞「き」を付けて「既に過ぎ去ってしまい、二度と戻らない」の「(英語で言うところの)完了」の感覚を添えた「往にし」に、方角を表わす「」を付けたもの。鎌倉期以降は「」が一般化し、「古へ」は文語・雅語の位置付けとなる。》
〔名〕
  (1) 〈(歴史的に見て)今となっては遠い昔。〉 古代。かな昔。遠い過去。いにしえ。   (2) 〈(個人的体験の中での)過ぎ去った時期。〉 過去。以前。かつて。昔。
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65 〈A〉 いぬ【往ぬ・去ぬ】
《古語のナ行変格活用動詞としてはこの「往ぬ・去ぬ」と「死ぬ」の二語しかないことで有名。完了の助動詞「ぬ」は「往ぬ・去ぬ」の最初の母音「い」が脱落したものとされる。》
〔自ナ変〕 {な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね}
  (1) 〈(物理的に)ある場所から消え去る。(本来の居場所へと)立ち返る。〉 立ち去る。帰る。行く。いなくなる。消える。退去する。   (2) 〈時間が経過する。〉 過ぎ去る。年月を経る。時が流れる。時間がたつ。   (3) 〈「死ぬ」の婉曲表現。〉 亡くなる。この世を去る。死ぬ。死去する。逝去する。
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66 〈A〉 いはけなし【稚けなし】
《実年齢の低さ、あるいは思慮・行動の子供っぽさに言及して「幼い」の意を表わす。「い"は"けなし」/「い"わ"けなし」いずれが正表記か不明とされる語だが、「いとけなし」と同様、「いはけなし」の末尾は程度の甚だしさの「甚し」で、否定の「無し」ではないらしい。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(年齢的に、または、実年齢に比して行動・精神が)幼い。〉 幼少だ。子供っぽい。年少だ。幼い。あどけない。幼稚だ。ガキっぽい。
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67 〈A〉 いふ【言ふ】
《現代語同様の「口に出して言う」のみならず、「求愛行動としての言い寄り」・「詩歌吟詠」・「流布」・「動物の鳴き声」など多様な語義を持つ古語。》 〔自ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ} 〔他ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈思うことを口に出して表現する。〉 言う。話す。口にする。言葉に出す。発言する。   (2) 〈(多く「・・・と言ふ」の形で)名称が・・・である。〉 ・・・という名の。・・・と称する。・・・と名乗る。・・・と呼ぶ。・・・という。名は・・・である。   (3) 〈広く世間でそのように言われている。〉 する。風評が立つ。・・・との評判である。世に・・・と言われている。   (4) 〈(恋愛目的で)異性に優しい言葉をかける。(結婚を)異性に申し込む、または、約束する。〉 言い寄る。求婚(婚約)する。口説く。求愛する。甘い言葉をかける。言い交わす。   (5) 詩歌を高らかに声に出して読み上げる。〉 吟詠する。朗読する。口ずさむ。うそぶく。   (6) 〈動物が鳴き声を出す。〉 鳴く。声を上げる。
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68 〈A〉 いぶかし【訝し】
《組成も語義も「ゆかし」に似て、末尾の「し」は「思わず・・・したい」の自発性を表わす。「事情不明で不安だから、情報が欲しい」・「警戒心が沸く」が本義。「ゆかし・おくゆかし」の類推で「興味津々」/「いぶせし」との混用で「憂鬱」という語義も加わった。動詞形は「訝る」。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈(事情がわからないために)不安を感じる。〉 気がかりだ。心配だ。   (2) 〈(よくわからない事態・相手に対して)警戒感を抱く。〉 疑わしい。不審だ。怪訝だ。怪しげだ。得体が知れない。うさんくさい。   (3) 〈(「いぶせし」との混用)晴れ晴れとした気分になれない。〉 憂鬱だ。気分が晴れない。鬱陶しい。もやもやする。   (4) 〈(自分が知らない事柄について)なるべく詳しい情報を知りたい。(未知の相手・経験などに興味を示して)会ってみたい、やってみたい。〉 よく知りたい。会ってみたい。やってみたい。どんなものか興味がある。興味津々だ。好奇心をくすぐられる。
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69 〈A〉 いふかひなし【言ふ甲斐無し】
《「今更どうこう言っても仕方がない」が原義、転じて「話題にする価値がない(=くだらぬ・見苦しい・身分が低い)」の意にもなる。連用形「いふかひなく」の形で「形容のしようがないほど甚だしく」の意となる場合もある。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈あれこれ言っても何の効用もない。〉 仕方がない。今更どうしようもない。言うだけ無駄だ。嘆いても始まらない。めるしかない。じたばたしてもしょうがない。   (2) 〈(関心・評価の対象にならぬほど)価値が低い。〉 つまらない。くだらない。取るに足らない。取り立てて言うべきこともない。論外だ。些末だ。   (3) 〈(話題にするのもはばかられるほどに)(外観・出来・経済状態・社会的地位が)劣悪だ。〉 無様だ。貧しい。しい。悲惨だ。惨めだ。見苦しい。情けない。みっともない。不甲斐ない。身分が低い。しがない。   (4) 〈(連用形「いふかひなく」の形で)形容のしようもないほどにだしい意を表わす。〉 言いようもないほど。どうしようもなく。れるほど。
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70 〈A〉 いぶせし【いぶせし】
《形容詞「いぶかし」と同根で、「いぶ」に「所狭し」語尾の「狭し」を付けた語。「事情が不明」の状況下で、謎を解明したがる「いぶかし」に対し、不安・不快がるだけなのが「いぶせし」。事情が不明のため「気分が晴れぬ」、理由はともかく「何となく不快」の意を表わす。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(事情がよくわからないために)気分がふさぐ。〉 憂鬱だ。鬱陶しい。気分が晴れない。胸騒ぎがする。   (2) 〈(はっきりした理由はわからないが、本能的・生理的に)不快な感じがする。〉 気持ち悪い。不快だ。嫌な感じだ。胸がむかむかする。ぞっとする。怖気が走る。おぞましい。背筋がぞっとする。らわしい。ばっちい。   (3) 〈(「いぶかし」の混用)(事情がわからずに)不安だ。警戒感を抱く。詳しい情報を知りたい。〉 気がかりだ。不審に思う。事情が知りたい。心配だ。疑わしい。どうなっているのかと思う。
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71 〈A〉 いまいまし【忌ま忌まし】
《「忌む」から生じた語で、(女性が生理中とか、宗教上問題があるとかの理由で)「禁忌に触れるから、行動を慎む必要がある」が原義。やがて宗教的禁忌を離れた一般的な「縁起が悪い」へ、更には現代語にも残る心理的な「しゃくにさわる」の語義へと転じた。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈(自分がれた身だから)慎むべきだ。(相手がれている・不吉だから)触れずにおきたい。〉 はばかられる。み慎まねばならない。謹慎すべきだ。   (2) 〈(それに触れれば)こちらまで不吉れに毒されそうな気がして嫌だ。〉 不吉だ。らわしい。縁起が悪い。おぞましい。   (3) 〈(自分自身の境遇が)思うようにならずに不快だ。〉 歯痒い。こそばゆい。残念無念だ。欲求不満だ。我ながら情けない。   (4) 〈(不愉快な状況や他人の態度を)自分ではどうにもできずに不快だ。〉 しゃくにさわる。小憎らしい。苦々しい。いまわしい。いまいましい。むかつく。頭に来る。腹が立つ。にさわる。
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72 〈A〉 います【在す・坐す】
上代の尊敬語「坐す」に、神聖の意の接頭語「斎」を付けて敬意を高めた語とされる。「存在」(あり・をり)または「往来」(行く・来)の尊敬語の他、尊敬の補助動詞としても用いる。平安時代には漢文訓読語として用い、和文脈では主に「御座す御座します」を用いた。》
〔自サ変〕 {せ・し・す・する・すれ・せよ}
  (1) 〈「あり」・「居り」の尊敬語。〉 いらっしゃる。おありになる。でいらっしゃる。であられる。であらせられる。   (2) 〈「行く」・「来」の尊敬語。〉 行かれる。来られる。いらっしゃる。おいでになる。お行きになる。お出かけになる。来なさる。来訪なさる。訪ねられる。   
〔自サ四〕 {さ・し・す・す・す・せ}
  (1) 〈「あり」・「居り」の尊敬語。〉 いらっしゃる。おありになる。でいらっしゃる。であられる。であらせられる。   (2) 〈「行く」・「来」の尊敬語。〉 行かれる。来られる。いらっしゃる。おいでになる。お行きになる。お出かけになる。来なさる。来訪なさる。訪ねられる。   
〔他サ下二〕 {せ・せ・す・する・すれ・せよ}
  (1) 〈「あらしむ」・「行かしむ」の謙譲語。(使役の対象を敬いつつ、へりくだって言う)〉 居ていただく。行かせ申し上げる。御滞在願う。御留まりく。行ってく。御足労願う。   
〔補動サ変〕 {せ・し・す・する・すれ・せよ}
  (1) 〈(活用語の「連用形」や「連用形+て」の後に続けて)尊敬の意を表わす。〉 ・・・(て/で)いらっしゃる。・・・(て/で)あらせられる。・・・(て/で)おられる。   
〔補動サ四〕 {さ・し・す・す・す・せ}
  (1) 〈(活用語の「連用形」や「連用形+て」の後に続けて)尊敬の意を表わす。〉 ・・・(て/で)いらっしゃる。・・・(て/で)あらせられる。・・・(て/で)おられる。
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73 〈A〉 いみじ【いみじ】
《名詞「忌み」の形容詞化だが、原義たる「聖なるもの・不浄のものを忌避する」感覚は薄く、「極端に悪い」または「極端に良い」という両極端の程度の甚だしさを力説する語なので、脈絡を読んで肯定的/否定的の方向性に応じて訳語を考える必要がある。》
〔形シク〕 {じから・じく/じかり・じ・じき/じかる・じけれ・じかれ}
  (1) 〈(しばしば連用形「いみじく」またはウ音便「いみじう」を副詞的に用いて)程度がだしいことを示す。〉 並々ならず。たいそう。だしく。著しく。激しく。非常に。すごく。とても。   (2) 〈(肯定的に強調する形で)賞賛や喜びの気持ちを表わす。〉 素晴らしい。嬉しい。見事だ。優秀だ。喜ばしい。めでたい。   (3) 〈(否定的に強調する形で)困惑・非難・悲嘆・恐怖などの気持ちを表わす。〉 大変だ。ひどい。悲しい。恐ろしい。どうしようもない。とんでもない。けしからぬ。情けない。むごい。辛い。あわれだ。可哀想だ。惨めだ。
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74 〈A〉 いむ【忌む】【斎む】
《「ゆゆし」の「ゆ」の母音交替した「い」に「む」を付けて動詞化したもの。神仏の前に出ても恥ずかしくないように「精進潔斎する」、宗教上穢れた存在を「忌避する」、生理的・感情的に「嫌い遠ざける」の意味を表わす。》
〔自マ四〕 {ま・み・む・む・め・め}
【斎む】   (1) 〈(神聖なるものに触れるため)身を清める。不浄なるもの・行為を避ける。〉 精進潔斎する。物みをする。身を清める。謹慎する。   
〔他マ四〕 {ま・み・む・む・め・め}
【忌む】   (1) 〈(宗教上の理由から)不浄なものとして避ける。〉 忌避する。み嫌う。戒律を守って近付かない。タブー視する。不吉だとして避ける。触れずにおく。   (2) 〈(生理的・感情的に)嫌い遠ざける。〉 う。嫌う。いやがる。遠慮する。敬遠する。控える。・・・せずにおく。
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75 〈A〉 いもうと【妹】
「妹」+「人」の「いもひと」の転。主に男性語で、男から見た「姉・妹」またはそれに類する「親しい女性」に言及する語。現代同様「姉妹のうちの年少者」の意になったのは中世以降。中古までは性別に無関係に年少者は「」/年長者は「」と呼んだ。》
〔名〕
  (1) 〈男性が自分の姉妹を呼ぶ語。(男性は、姉でも「いもうと」と呼んだ)〉 妹。姉。姉妹。女きょうだい。   (2) 〈(中世以降)姉妹のうち、年少の者。(一般に、年少者には男女を問わず「」を用いた)〉 妹。   (3) 〈男性が親しい女性を(たわむれに兄妹の関係になぞらえて)呼ぶ語。〉 妹みたいな君。かわいい貴女
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76 〈A〉 いやし【賤し・卑し】
《「いと」+「あやし」(=全く素姓が知れない)の転とも、「弥」+「下」(=最下層の身分)に由来するとも言われる語で、「階層/外観/品格/その他の基準に照らして、下等だ」の意を表わす。》
〔形シク〕 {しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}
  (1) 〈社会的地位が低い。〉 下賤の。身分しき。下々の。下層階級の。   (2) 〈(外見が)優雅さに欠けている。〉 みすぼらしい。見苦しい。みっともない。粗末だ。粗雑だ。粗野だ。垢抜けない。洗練を欠く。貧乏ったらしい。めったらしい。   (3) 〈人間としての品格に欠けている。〉 品性がしい。下卑た。下劣な。意地汚い。下品な。貧乏根性の染みついた。けちくさい。しみったれた。   (4) 〈(何らかの価値判断の基準に照らして)低劣だ。〉 取るに足らない。価値がない。つまらない。見るべきものがない。吹けば飛ぶような。
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77 〈A〉 いらふ【答ふ・応ふ】
《相手の呼び掛けに対し、適当に(または社交辞礼的に)言葉で「応答する」のが「答ふ・応ふ」で、中古の和文脈で好まれた。一方、質問に律儀に返答するのが「答ふ」で、漢文訓読文で好まれた。中世以降は両者の区別が薄れ、現代には「答ふ」のみが残った。》
〔自ハ下二〕 {へ・へ・ふ・ふる・ふれ・へよ}
  (1) 〈(適当に、または、社交辞礼として)相手の問いに対して言葉を返す。〉 応答する。返事をする。答える。受け答えする。
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78 〈A〉 いろ【色】
《原義の「色彩」から、「顔色」へ、更には、美しいものの持つ「華美」・「風情」、そうしたものに対して感じる「情感」、果ては「女性の容色」から「色情」関係へと、極めて幅広い意味にまたがる語。》
〔名〕
  (1) 〈(視覚的に認識される)色。〉 色彩。色合い。カラー。   (2) 〈(人の)顔面・外観に表われた体調・感情の変化。〉 顔色。素振り。表情。様子。気配。   (3) 〈(色彩・見た目の)華やかさ。〉 華美。美麗。うわべの美しさ。派手さ。色鮮やか。色とりどり。けばけばしさ。飾り立てた感じ。   (4) 〈(人の心に何らかの感慨をもたらすような)自然の景色・雰囲気。〉 風情情趣。趣深さ。気配。雰囲気。   (5) 〈(自然・人事に触発されて)しみじみとした情感を催すこと。〉 風流心。情感。な心。人情味   (6) 〈女性の美しい顔。または、髪の光沢。〉 美貌色艶容色。器量。女性美。   (7) 〈(色情の対象としての)異性。〉 恋人。遊女。美女。愛人。情人。いい人。   (8) 〈(美しい異性との)恋愛に夢中になること。〉 色恋色情。色欲。情欲。色好み。恋愛。情事。火遊び。   (9) 〈(位階により定まった、または着用を禁じられた、または服として用いる)服飾の色。〉 当色禁色鈍色ドレスコード。   
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈(場面に応じて)適正に感応する心・行動がある。〉 風流だ。情趣をえている。洒落ている。である。   (2) 〈恋愛に夢中になりやすい体質である。〉 好色だ。色好みだ。多情だ。浮気っぽい。好き者だ。   (3) 〈(女性の外見、特に髪の毛が)美しく魅力的だ。〉 がよい。つややかだ。つやつやしている。輝くようだ。
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79 〈A〉 う【得】
《文語動詞中、唯一の「ア行」活用動詞。「(物を、あるいは、意中の女性を)自分のものにする」の原義から、極意を得るの意の「得意とする」や、心得るの意の「理解する」の意味が生じたほか、「・・・可能」の意の動詞/補助動詞としても用いられた。》
〔他ア下二〕 {え・え・う・うる・うれ・えよ}
  (1) 〈(物を)自分のものにする。〉 獲得する。入手する。手に入れる。手中に収める。   (2) 〈(意中の女性を)自分の恋人、または、妻とする。〉 女をものにする。る。わがものとする。思いを遂げる。   (3) 〈(特定の技芸を)よく身に付ける。〉 得意とする。得手である。・・・に優れる。・・・に長じる。・・・にたけている。・・・にでる。会得する。体得する。   (4) 〈(多く「心を得」・「意を得」の形で)意味を知っている。〉 理解する。悟る。心得る。得心する。納得する。える。   (5) 〈(動詞の連用形や名詞句「・・・を」・「・・・こと(を)」に続けて)その動作が可能である、または、完遂できる意を表わす。〉 ・・・できる。・・・しきれる。   
〔補動ア下二〕 {え・え・う・うる・うれ・えよ}
  (1) 〈(動詞の連用形に続けて)その動作が可能である、または、完遂できる意を表わす。〉 ・・・できる。・・・しきれる。
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